エアコンの仕組みをわかりやすく解説!|冷暖房で心地よい環境を作る方法

日頃何気なく使っているエアコンですが、

仕組みや原理がよくわからないものが多いと思います。

そんな電化製品が私たちの周りにはたくさんあります。

その仕組みを理解するだけで、

家電のパフォーマンスを最大限まで引き出すことができます。

今回は夏や冬に大活躍のエアコンについてわかりやすく解説していきます。

この仕組みがわかるようになると、

冷暖房で家の中を心地いい空間に変えてくれます。

それに加えて電気代の節約にも繋がるのです。

是非、エアコンの仕組みを理解して快適な環境を作りましょう!

エアコンの仕組み

まずはエアコンの仕組みについて解説していきます。

エアコンの仕組みを理解するためには理科の重要な規則を知る必要があります。

「エアコンの中には冷たい空気が入っていてそれが出てきている。」

と多くの人が考えていると思いますが、それは全く違います。

なので、順を折って解説していきます。

エアコンの仕組みを理解するための3ステップ

①熱の移動

初めに熱を運ぶエネルギーについて、熱移動の三原則の1つを知る必要があります。

その三原則というものが、熱伝導、対流、熱放射です。

この三つの熱の移動をまとめると次のようになります。

  • 熱伝導:熱が物体を橋渡しにして流れる現象
  • 熱対流:熱を加えた気流や液体が移動し、他の物質に熱を加える現象
  • 熱放射:熱から離れていても熱が伝わる現象

この熱対流という現象がエアコンで使われている原理です。

熱対流は熱の温度差に生じた気体や液体の移動によって

熱が運ばれる現象のことでしたね。

これをわかりやすく説明すると

お風呂を沸かした時にかき混ぜないと、

上が暖かい水で下が冷たいままの状態だったことがあると思います。

それが時間が経つにつれ、温度が均一になっていくのが対流の原理です。

この原理を使うことによりエアコンで冷風を作り、

部屋の中を対流させることで温度調整をしています。

②断熱圧縮と断熱膨張

断熱圧縮とは、外からの熱の供給がない状態で

気体が圧縮される時のことを言います。

逆に断熱膨張は気体が膨張される時のことを言います。

この時、気体が圧縮されると温度が上がり、

膨張すると温度が下がる結果が得られます。

その理由は図のとおりで

圧縮した場合は空気の体積が小さくなり、分子の動く場所が小さくなってしまいます。

それをもっと圧縮すると空気の押し返す力が強くなってきます。

そのせいで、圧縮という運動エネルギーが分子に加わり温度が上がります。

例えば、ドライアイスの作る方法があります。

その方法は二酸化炭素を圧縮させてから膨張させると、

二酸化炭素の温度が下がってドライアイスが出来上がるのです。

③気化熱と凝縮熱

これは液体と気体の関係を使った方法です。

中学生の理科の授業で誰しもがやったと思いますが、物質の三要素が上図です。

まずは液体→気体になった場合を考えます。

この時の例としては、水と水蒸気を考えるとわかりやすいです。

液体の水の水分子はゆっくり動いているのに対し、

気体の水分子は飛び回っているような感じです。

この時、液体から気体にするには熱が必要ですよね。

このことから気体が熱を吸収することが言えます。

例としては打ち水が代表例です。

打ち水というのは道路や庭などに水を撒く行為ですよね。

その結果、夏場はその場所だけひんやりした空間を作ってくれます。

このことから、撒いた水が蒸発することによって熱を吸収し周りを涼しくしてくれるのです。

その逆の気体→液体は熱を放出することになります。

冷媒ガスとその種類

エアコンの仕組みを理解する上で冷媒ガスというものを知っておく必要があります。

冷媒ガスとは主に冷蔵庫やエアコンなどに使われているもので、

エアコンが室内の温度を上げたり下げたりするのに使用されている物質のことです。

この冷媒ガスですが、一般的に用いられているのがフロン類の各種ガスで、

炭素、水素、フッ素、ハロゲンなどの安定した化合物のことを言います。

CFC(クロロフルオロカーボン)

CFCは低温冷凍機、カーエアコン、電気冷蔵庫などで使われている冷媒ガスの1つです。

この冷媒ガスは、科学的に安定している物質ですがある問題点があります。

その問題点とは、大気中に物質が放出されてしまうと

ほとんど分解できずに成層圏まで到達してしまい、

太陽の強い紫外線によって塩素原子を放出します。

それが触媒となり、オゾン層を分解する反応が連鎖的に起きてしまうのです。

これがオゾン層破壊です。

そのため、現在ではほとんど使われない冷媒ガスになります。

HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)

HCFCはパッケージエアコンなどで使用されている冷媒ガスです。

この冷媒ガスはフロン類に比べてオゾン層に与える破壊効果が低いものとなっています。

ですが、モントリオール議定書の見直し・強化によってオゾン層破壊物質に指定され、

先進国では2020年、

開発途上国では2030年までに生産中止になる冷媒ガスです。

HFC(ハイドロフルオロカーボン)

HFCは国内では代替フロンと呼ばれている冷媒ガスです。

この代替フロンですがオゾン層破壊をしないことで有名で、

近年その使用が増加している冷媒ガスになります。

オゾン層を破壊しないと聞くと、

素晴らしい物質だと思われがちですが大きな問題を抱えています。

まず、代替フロンはオゾン層に与える破壊効果がゼロです。

ですが、二酸化炭素の温室効果を1とすると

100万〜1万倍近い温室効果を持つものになります。

これを知ると、代替フロンが地球に優しくない物質だとわかりますね。

今後の代替フロンについて

今後、代替フロンは温室効果の低い冷媒ガスへの転換が求められています。

例えば次のようなものが注目されています。

HFC(ハイドロフルオロオルフィン)一般空調のターボ冷凍機
CO2(二酸化炭素)低温用の冷蔵庫
NH3(アンモニア)低温用の冷蔵庫
Air(空気)超低温用の冷蔵庫
HC(可燃性ガス)

冷暖房の仕組み

やっとエアコンの仕組みに移ります。

順を追って説明していくので冷房運転の仕組みを理解していきましょう。

上の図が冷房運転時のエアコンの図です。

初めにエアコンは室内機と室外機をセットでエアコンと言います。

それを結ぶものが冷媒配管です。

まずはエアコンの仕組みを知る上で、簡単にエアコンの中を説明します。

一つ目に冷媒配管には冷媒ガスが入っており

室内機と室外機の中を流れています。

二つ目に室内機と室外機には熱交換器というものが入っており、

熱を下ろしたり乗せたりするものになります。

三つ目に室外機の中の減圧器と圧縮器は冷媒ガスを減圧と圧縮し、

減圧は低温の液体に、圧縮は高温の気体の状態にしています。

一通りの機器の説明を終えたところで、

エアコンから冷たい風が出てくる仕組みを説明していきます。

エアコンから冷たい風が出てくる仕組み

①室内機の熱交換器で部屋の中の熱い空気のみを冷媒ガスに乗せます。

②熱がなくなった空気はエアコンからはき出されます。

③冷媒ガスにのった熱は室外機の圧縮機により高温の気体になります。

④高温の気体は室外機の熱交換器により熱が奪われます。

⑤その際、室外機のファンによって空気と一緒に熱を放出します。

⑥まだ気体のままの冷媒ガスを減圧し、液体に戻します。

⑦→①に戻る

エアコンから暖かい風が出て来る仕組み

①室外機の熱交換器で外の熱い空気のみを冷媒ガスに乗せます。

②熱がなくなった空気は室外機のファンによってはき出されます。

③冷媒ガスにのった熱は圧縮器によって高温の気体になります。

④高温の気体は室内機の熱交換器を温めます。

⑤温められた熱を室内機が放出します。

⑥まだ気体のままの冷媒ガスを減圧し、液体に戻します。

⑦→①に戻る

この熱の移動によって部屋の温度調整を行っているのです。

エアコンの選び方

エアコンの選び方を簡単にレクチャーしていきます。

まずは電気屋にいくと「○畳用」という表記がされていると思います。

これは東京にある断熱性能の悪い建物を基準にしたものになっています。

最近の住宅は断熱性能の良い家が増えてきているので、

エアコンの能力が高くなってしまいます。

それに加え、量販店で売られている高い値引き率の製品は

効率の悪い旧タイプのものが多いです。

最新のモデルを買うことにより、効率の良いエアコンを選ぶ事ができます。

なので、それらを割引いて考える必要がありそうですね。

また、最近のエアコンには冷暖房と合わせて

加湿機能を備えたモデルが登場しています。

冬場は特に空気が乾燥しているので、

室内を暖めると過乾燥状態になりやすいです。

なので選択肢の一つとして、冷暖房と除湿に加えて加湿もつけるのもいいですね。

エアコンを上手に使おう!

エアコンを上手に使うことで節約にもつながります。

それを3つほど紹介していきます。

エアコンは連続運転がお得!

エアコンをこまめにオン・オフするのはもったいないです。

省エネになると考えている人がいるかもしれませんが

全くの間違いです!

理由としてはエアコンをオンする際、

立ち上がりから安定するまでに5〜6倍の電力を消費しているからです。

例えば設定温度に達する前の運転開始直後(10分程度)では

100Wほどの電力が消費されています。

なので、断熱性能の高い建物ならばエアコンをオン・オフした方が効率が良い時もありますが、

そうでないならば自動モードで連続運転をオススメします。

扇風機とエアコンを同時に使う

扇風機とエアコンをセットで使うことにより省エネになります。

エアコンの消費電力を抑える方法は設定温度を上げることですが、

部屋の中は暑く感じるなんてことがあると思います。

そういった時に扇風機を使えば体に風があたり、体感温度を下げることができます。

加えて、扇風機で部屋全体の空気を混ぜて温度のムラをなくすことが効果的です。

エアコンの冷気は重いので下に溜まりやすく、

扇風機を低い位置に置き、上向きに風を送ることで部屋の温度が均一になりやすいです。

これを行うだけで、エアコンが設定温度通りに運転をしてくれます。

内部発熱を減らす

人間は一人当たり約100Wの熱を出しています。

そのほかにも照明やテレビ、パソコンなども

その家電のワット数に応じた熱を出しています。

この生活する上で発生している熱を「内部発熱」とよび、

一つの家で700〜1000Wほどの発熱がされています。

それらを少しでも減らすだけでエアコンの効きが良くなったりします。

室外機に前にものを置いていたりすると冷暖房効率が下がります。周りをスッキリさせておく事がポイントです。

まとめ

エアコンは冷媒ガスを気体や液体に変化させ、

熱交換器により熱の吸収・放出をして温度調整をする電化製品です。

エアコンの基本的な仕組みを理解するだけで、

地球温暖化を意識しなければいけないことを理解してもらえたと思います。

ぜひ、古いエアコンを使っている人は買い替えましょう!